その日は、2人で朝まで飲み明かして
何故か意気投合して、色んな話をした。
くだらない事で笑ったり、一緒に泣いたり…
会ったばっかりの人だけど、
人を信用しない空が…何で、この人に手紙を託したのか
少しだけ分かった気がした。
「…また、来てもいいか?」
翌朝、駅まで車で送っていた時
助手席から聞こえて来た成田の意外な言葉に
少しだけビックリしたけど
『いつでも来て下さい!!また、今度飲みに行きましょうよ!?』
「それ、いいね!!楽しみにしとく。」
うちに来た時は、丁寧に着こなされていたスーツが
今は、心なしかシワがより、ネクタイの外された首元は
シャツのボタンが際どい位置まで外れていて
座席に体を預ける成田の顔に、疲れの色が見えている。
『顔…オッサンになってますよ?笑』
「だって、オッサンだもん。」
30過ぎた男が“もん”って…。笑
「…なあ、光?本当に、何かあったら直ぐに連絡して来いよ?」
『てか…何で、そんなに優しくしてくれるん?』
嫉妬した。
そう、言っていた成田――。
普通なら、俺の事なんて…ただの嫌な奴なんじゃないんか?
「何でだろうな?分かんねー!!まぁ、これも縁って事で。」
やっぱり、成田は大人や―…。
嫌な顔のひとつでもしてくれたら…
邪魔なんだよって、罵ってくれたら…
自分だって、俺だって
少しは楽だったかもしれないのに、それをしない成田は
やっぱり、大人なんやな。
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