信じられないと言った表情を浮かべる蓮さん。



最初は、俺だって信じられなかった―…。

やけど、突きつけられた現実は…皮肉にも、空の死で…

認めたくないけど、認めるしかなかった。




「ははっ、嘘…やろ?」



嘘だったら、どれだけ良かっただろう。

空が生きていたら、どれだけ幸せだろう――。




「まさか…お前まで、俺と同じ事になるなんて…。
 泣けよ…。我慢しやんと、思いっきり泣いたらいい―…。」


『お…なじって…?』



ゆっくりと腕を伸ばして、古時計を指さす蓮さんの目からも

大粒の涙が出ている…



『えっ、来海ちゃん…?』


「…今は、まだ言わん。」



とりあえず…、飲めや!!


そう付け加えて、ビールを注ぐ蓮さんの手が震えていて
グラスとビンが当たって、微かにカタカタっと音を立てていた。




大の大人2人…しかも、男同士で泣く姿は

なんて滑稽なんやろう……。



やけど、蓮さんも表には出さない何かを抱えてるんやって思ったら

そんな事…よう言わん―…。








――ゴーンゴーン!!



あの日は鳴らなかった鐘が、今日は豪快な音を立てて鳴り響いた。





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