━着信*大和━
一向に鳴り止む気配を見せない携帯を無視して
静かになるのを、ただジッと待った。
出たくない―…。
誰とも話たくないし、誰の声も聞きたくない。
少しすると、静けさを取り戻した携帯を手に
着信履歴を開いて、空の番号を探し出し…発信ボタンを押した…。
プップーって音の後に、呼び出し音が流れて
それと同時に、空の鞄の中から音楽が流れて来る
『この曲……。』
俺が寝る時に、いつも聴いていた
俺の一番好きな曲――。
『あはは…、意外と乙女やん―…。』
こんな事、空の目の前で言ったら
きっと…
[失礼なっ!!アタシ、ちゃんと女の子やし!!]
とか言って怒りそうやな―…。
終了ボタンを押して、悪いなって思いながらも
勝手に携帯の中を見ようとしたら…
ロックがかかっていて、暗証番号が分からない――。
空の誕生日を入力してみても、解除されない…
『当たり前か…。』
普通、そんな単純な番号にしないよな。
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