『俺も…空の所に行きたい…。今なら間に合うかな?』


誰もいない空間は、思った以上に声が反射して
ボソッと呟いた独り言さえも、良く聞こえて来る。




今までは、側にいなくても
空が元気でいてくれたら、それが俺の幸せだと思ってた。
今でも、そう思ってる―…。



やけど…もう、その空がいないんや。

俺に生きてる意味なんてあるのかな?

1人だけ、のうのうと生きてて良いのかな?

死んだら…空と一緒におれるのかな?



空のいない世界なんて…いらない。







スッと立ち上がり、キッチンまで行く…。



年季の入った心なしか錆びた包丁を手に取り
再び、空の隣に戻った。



『先に逝くなよ…。すぐに追いついてやるから…ゆっくり歩くんやで?』



怖くないって言ったら嘘やけど…

それよりも、空がいない世界の方が怖い。



2人同時にあげる葬式も悪くないかな?って

本気で思った―…。




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