彼は、まだあたしに気づいては居なかった。だから、あたしは彼の演技?をずっと見ていた。



なんてセクシーな声なんだろう?



とか色々思いながら……



『分かってる。お前は……俺様の虜なんだろ?』



すごい……セクシー


『……ん、イマイチだな』



だけど、彼にはイマイチらしく。赤ペンで色々書き込みながらまた同じ言葉を繰り返した。



『分かってる。お前は……俺様の虜なんだろ?』



同じ言葉でも、さっきよりももっとセクシーな声だ。改めてすごいなと思う。



『ほら、俺様の事名前で呼べよ……イヤなんてやぼな事言わないよな?玲美……』



……あ……ヤバいヤバい。みほれたままじゃダメじゃない!


『名前か……』



彼はそう呟くと、頭を抱えながら近くの椅子に腰掛ける。



そして、色々名前を呟いていく。



『麗美、美幸……って、こんなのまでか……』



どうやら、彼は名前を呼ぶ練習もしているらしい。



どれも女の子の名前ばかりだ。