「景ちゃん?聞いてる?」



「少し……」



それから、少しHさんと話してから、アフレコが始まった。


最初苦労したのは、くしゃみを我慢する事だった。



後、音をかすかでも、立ててはいけないから、台本もめくるのが苦労だった。



ペラペラとめくる音のせいで、また最初から言う羽目になったと、その時初めて怒られた。



俺が、本格的に声優の勉強をし始めたのは、高校二年で。



その前に、都会に住んでいる親戚の人の家に遊びに行った時の事だ。親戚の人は、俺の声ならと勝手に一般のオーディションを申し込んでしまっていた。



それで、ムリヤリ連れて行かれ、見事勝ち取った時の役は、主人公の親友だった。



その時は、まだ中学生だった俺は、怒られたのが、ショックだった為、すぐにやめてしまった。



変わりに、違う人がやったと親戚の人は言っていた。