「次、オカマになってるか聴いてくれ」



不意にそう言われ、椅子から落ちそうになる。



「おオカマ?」



「ああ、主人公と体が入れ替わる場面もあるからな」



渋谷くんは、普段クールなイメージだけど、仕事ではちゃんとマジメだ。



だから、ちゃんとオカマもやるみたいだ。



「うん、分かった」



「ありがとうな」



そう言って台本から視線を逸らし、あたしを見る。



見つめられているみたいで、ドキドキした。



「…………」



渋谷くんの声は、時々甘くほとんどがセクシーだ。



だから、話し掛けられただけで、おかしくなりそうだ。