「だから、あたし…」

「気にしないし!洋子が俺の友達のこと好きだろうと、俺の先輩のこと好きだろうと――」

「マジで無理だからっ!」


“俺の先輩”


巧は勢いで言ったんだろうけど、その言葉にあたしの体は反応して、つい大声を張り上げてしまった。



「……っ、ごめん…」


空気が悪くなって、あたしは逃げるように教室を飛び出した。



なんで巧はこんなあたしが好きなんだろう。

こんなに最低で最悪なのに。


―でも、涙は出ない。