――村人は薬だと思って疑わないよ。白い花なのに。平常心が無いからだよ。―――


『…大変じゃ…。風たち、お前さんたちの力でどうにかならんか!?』

「…ロマ…!」


―――森の主!村人が、犬竜のくわえる籠に手を出してしまったよ!―――

――犬竜は首を大きく振って、花たちを守ろうと必死だよ!でも…小さな犬竜。次々と村人たちは手を出して、三本の花は、―――


――土から…、むしり取られてしまったよ。―――


「…なんと…」


――犬竜の口から、籠が地面へ落ちてしまったよ。籠から土が溢れて、犬竜は拾えないよ…。―――

――悲しいよ。悲しいよ。犬竜が…、涙を溜めているよ…。それでも…―――

――花たちを守ろうと、花たちの溢れた大地を村人から庇っているよ。逃げないよ。泣いてるよ。―――


「――おじいさんっ!」

僕は泣き出しそうなのを耐え、森の主を見上げました。
返事は、返りません。


――そこをどけ、って。花をよこせ、って。村人が怒っているよ!村人が沢山集まっているよ!―――

――犬竜、可哀想!村人が…石を投げ付けたよ!痛いよ。酷いよ!また投げたよ。犬竜、痛いのに逃げないんだよ…。―――