――嬉しくて、光って、光って、揺れているよ。―――


「……ぇ?」

ザワッ
『…まずいな…』

悪い予感がありました。
闇夜に、白い光…


――森の主。犬竜が、村人に見つかってしまったよ。―――


「…!!…ロマッ!」

ここで声をあげても、どうしようもありません。


――村人たちが、犬竜にじりじりと近付いてくるよ。犬竜は驚いて、立ち止まってしまったよ。―――

――村人が呟いているよ。その花は、七色の花畑の花じゃないかって。口々にそう言って、とても欲しがっているよ。―――


「…違います。違う。違いますよ!?それはエマの…!」

僕の声は届きません。


――犬竜は、村人に囲まれてしまったよ。驚いて、怖がっているよ。―――

――七色の花を渡せって。ユラ様が我々に与えてくれた薬だろうって、村人たちの手が犬竜に伸びてくるよ。―――


「…違いますって!…ロマ…」


―――犬竜が、一生懸命に首を横に振っているよ。これは七色じゃない、白い花なんだ、って。―――

――エマの友達だ、って。エマに届けるんだ、って。怖くて怖くて、後ずさりしながら…。花たちの為に頑張っているよ。でも、村人には伝わらないんだよ。―――