森の主の緑色の光が、
僕の体に直接降り注ぎました。

優しく、温かいようで…
とても心が落ち着きました。


風たちの声が鮮明に聞こえてきました。


――犬竜が森を抜けたよ。花たちは、エマに会える、エマに会えるって喜んで揺れているよ。それを感じて、犬竜もとても嬉しそうに、籠を揺らして歩いているよ。―――


「…順調の様ですね…」

ザワ…
『…風たちよ、なるべく闇夜に紛れて歩く様に、背中を押してやるんじゃよ?わしら植物の居ない場所を通るんじゃ…』

森の主が風たちに指示を出しました。

世界を照らす植物たちの光。
それを避けて、村人たちに見つからない様に進んだのです。


――僕らが背中を押して、どんどん進んでいるよ。犬竜が、村に入ったよ。―――

――何人か、動ける村人たちが歩いているよ。目は虚ろで、生気はない。悲しそうだよ。―――


僕の息を飲みました。
ドキドキと、心臓の鼓動が早くなっていきます。


――僕ら、光の少ない場所を移動しているんだけど……―――

――白い花たちが、エマに会えるって、エマにどんどん近付いているって、嬉しくて。白く白く、光っているよ。―――