『…解決策が見つからん事にはな…、火に油を注ぐ様なもんじゃ…』

「…大切な時に、僕はなす術がない…。村人たちに責められても仕方がありませんね…」

やっぱり…

僕ハ、
神様ナンカジャナイ…

そんな無力感ばかりが大きくなりました。


ザワ…
『…神だろうと、なかろうと…、この世の全てを解決出来る様な者は、居りゃせん…』

森の主の穏やかなその言葉に、僕は泣き出しそうになる瞳を伏せました。


『ユラが哀しむ必要はないんじゃよ…。泣いちゃいかん。雨が降ったら花畑の露が流れてしまうよ…』

「…大丈夫。泣きません…」

僕が、哀しくて泣いてしまうと雨が降ります。
少しなら構いません。
降り続いたら良くありません。

人々に必要な、
青い虫たちが折角集めた蜜の溜まる、花畑の露の水溜まりが溢れ出してしまいます。


「…おかしいですね。哀しみは、心から取り出し、月として空に浮かべたはずなのですが…。…また僕の心に生まれてしまいましたね…」

僕は「ふふ…」と静かに小さく笑いました。


サワサワ…
『それは、わしら生物に意思がある以上、仕方のない定めじゃろうなぁ…』

森の主も優しく枝をしならせて笑いました。