かなた「美瑠ちゃんが教えてほしいって言ったのは‘昔の翔達’についてだよね?」
美瑠『そうだけど・・・』
かなた「俺の口からは、誰なのか言えない」
美瑠『なんで?教えてよ』
かなた「これは美瑠ちゃん自身が自分で探さなきゃいけない過去なんぢゃない?」
もしかして・・・
美瑠『ねぇ、・・・翔ぢゃないの?』
かなた「俺はもう十分話したよ。後は自力で探すんだ」
美瑠『そんな・・・、ねぇ!何でもするから教えて!』
かなた「ぢゃあ翔と別れて俺にしようよ?」
美瑠『・・・』
かなた「ほら、どうせできないんだから、何でもするなんて簡単に言っちゃ駄目だよ?」
美瑠『・・・ごめんなさい』
かなた「ねぇ見て!夕日が綺麗に出てるよ!!」
美瑠『えっ?』
かなた君が話をそらしてくれたのは優しさなのかな〜?、そんな事を考えながら、夕日に目を向けてみる。
美瑠『ゎあ、綺麗〜』
水平線から半分、夕日が覗いている。
まるで、私とかなた君を優しく包み込むようなオレンジ色の光を放っている。
かなた「ちょっとは気が楽になった?」
美瑠『え?』
かなた「いや、その・・・美瑠ちゃんが辛い過去を知っちゃったから気が重いかな、って思って」
美瑠『・・・・』
かなた「え、なんかごめんね?」
美瑠『多分、今は隣に誰かがいるから大丈夫なんだと思う』
かなた「そこは隣に誰か、ぢゃなくて、隣にかなた君がいるから、って言ってくれればいいのにな〜」
美瑠『あははっ、ごめんごめんっ』
かなた「美瑠ちゃん、やっと笑った」
美瑠『かなた君のおかげだね?』
そう言って、かなた君と私はオレンジ色の夕日に見守られる中、2人で笑い合ったんだ。
この時から私の記憶の失われたパズルのピースを探しは始まった。