美瑠『ううん、いないと思う。なんか私記憶力悪いみたいでさ〜、幼稚園の頃なんて全然覚えてないんだよね〜。』



私は昔っから忘れっぽいのだ。
幼稚園の頃なんて、何幼稚園にいて、誰と仲良くて、誰に恋していたかなんてサッパリ覚えていないんだ。


幼稚園、私は小さな恋でもしていたのかな?
誰に恋していたんだろう。
どんな人?
性格は?
外見は?
身長は?


そんなことを思い出そうとしたことは何回もある。




かなた「・・・美瑠ちゃん。」



美瑠『なぁに?』



かなた「美瑠ちゃん・・・どうしても知りたいなら覚悟して聞いて。僕は本当なら美瑠ちゃんに話したくないけれど、美瑠ちゃんがどうしてもというなら・・・。美瑠ちゃん、覚悟してないと、驚愕するのは君、美瑠ちゃんの方だよ」



美瑠『どういう意味・・・』



かなた「美瑠ちゃんは一部の記憶障害なんだ」



え・・・?
今、なんて・・・



かなた「幼稚園児の頃、美瑠ちゃんの父親の会社の取引先だった企業の人は、美瑠ちゃんの父親の会社との取引を打ち切られた。」



かなた「その取引を打ち切られた会社はその後、赤字が続き多額の借金を背負って破綻した。」



かなた「その破綻した会社の社長は美瑠ちゃんの父親を恨んだ。そして会社を営んでいた頃の部下に大金を支払い美瑠ちゃんの父親が1番大切にしている物を奪えと命令したんだ。」



かなた「美瑠ちゃんの父親が1番大切にしていたのは、娘の美瑠ちゃん。命令された部下はそう思って美瑠ちゃんを誘拐して身代金を要求しようとしたんだ。」



うそでしょ・・・。



かなた「そして誘拐しようと、美瑠ちゃんが遊んでいると知った海へ車でその部下は向かったんだ。」



かなた「でもその時、誘拐することで頭がいっぱいだった部下は信号を確認していなかった。つまり信号無視。」



かなた「横断歩道を渡っていたのは美瑠ちゃんだった。はねられたんだ。小さな体は大きなワゴン車に。」



そんな、そんな嘘。
嘘だよね?