―――莉奈と遥華の散々な拷問を受けた翌日。土曜日。



木の葉は枯れ落ち、快晴の空に冷たい風が心地好い秋の終り頃。


私の心を満たす罪悪感とは逆に憎いくらいの良い天気。



午前11時集合。

10分も早く着いちゃったよ。



美瑠『きゃっ!!!』



「だ-れだっ!!」



後ろから目隠しなんて可愛らしいことをするのは誰かなんて決まってる。



美瑠『かなた君でしょ?』



かなた「ピンポーン!美瑠ちゃんの反応可愛かったぁ!」



美瑠『いや、あれはかなた君がいきなり・・・』



かなた「ごめんね?驚かしちゃって。で、今日どこ行きたい??」



それが全く決めていないんですよ・・・。



かなた「顔に出てる・・・。決めてないのかぁ。ぢゃあ、僕の美瑠ちゃんデータによると、海好きで動物好き。そんな美瑠ちゃんにとっておきの場所があるよ」



美瑠『本当に!?行きたいなっ!』


かなた「ぢゃあ決定だね!行こう」



そう言って自然に手を繋いで引っ張って行くかなた君。



快速電車に乗るまで2人共無言で会話は無かったけど、それが嫌ぢゃないし、違和感もない。



快速電車で行く場所も教えてもらえなかった。



かなた「ねぇ、見て!外の景色綺麗だよ!」



美瑠『ほんとだぁ・・・。綺麗・・・。』



綺麗な景色に見とれてしまうのも仕方ない。


なぜなら外は大きな海が広がり、綺麗な青空との地平線がどこまでも続いているんだと言っているような、そんな最高の景色だった。



かなた「美瑠ちゃん、ロマンチスト?」



美瑠『多分ロマンチストだと思う』



かなた「本当に!?僕と同じだぁ」


美瑠『かなた君もロマンチストなの?』



かなた「僕もね、海とか街の夜景とか花火の隠れスポットとか好きなんだ」



美瑠『そうなんだぁ。』



こうやってかなた君のことを少しずつ知って行くんだな、と私は思った。



電車の窓から外を眺めるかなた君の横顔は、嘘のない無邪気で嬉しそうな笑顔だった。