教室の扉を開けた瞬間。
莉奈と遥華の鋭い視線が痛い・・・痛すぎる。
もうこの状況でわかるよ。
莉奈達の目がこっちに来い、って言ってる。
莉奈「そこの中井美瑠ちゃん。こちらに座りなさい。」
遥華「もちろんわかっているだろうけど、今からする質問に正直に答えなさい。」
美瑠『は、はい・・・』
指示された席は莉奈と遥華の向かい側。
これはまるで警察の事情聴取でも受けてる気分だ。
もちろん、実際受けたことはないけれどね。
莉奈「ゴッホン。では始めます。」
拳を口元に当てて、オッサンくさい真似をする莉奈。
遥華「ぢゃあ、まず始めに、あの可愛らしい男の子は何処のどいつ?詳細まで述べなさい。」
これはまだ正直に言っても平気だろうか・・・。
美瑠『え-と、確か・・・研究科で学年は同じだったはず』
莉奈「では、次。あの男の子との関係を述べよ」
これはさすがに正直には無理に決まってる。
美瑠『そ、それは、え-と、ただの友達というか顔見知りというか知り合い。』
ごめんね、莉奈と遥華、と心の中で謝っておく。
本当は期間限定の彼氏なの、と心中で正直に呟いても伝わる訳がないのが事実であり現実。
遥華「では、知り合ったきっかけは?」
このまま、私はどんどん嘘つきになるのかな。
嘘つきは泥棒の始まり。
いや、さすがに泥棒とかないし。
美瑠『知り合ったきっかけはね、私が困ってるとき助けてもらった。』
うん、今回は嘘つかずに済んだ。
どうにか嘘をつかずにごまかしたいけど、まぁ、出来る限りってとこかな?
莉奈「さっきハートの目で呼び出された先に話していたことは?」
ハートの目をしていたのか!、かなた君!!
かなた君が私を好きというのは事実だけど悪そうな子にはどうも見えない。
かなた君にはもっと可愛くて素敵な女の子とくっついた方がお似合いなのにな、とか質問されている途中なのに考えてしまった。
美瑠『内容はないよ〜?』
莉奈・遥華「・・・」