かなた「明日のデート、行きたい場所とかある??」



裏のなさそうな純粋な笑顔に私の怒りとやらムカムカする気持ちが、さら〜、と抜けていく。



美瑠『私はどこでもいいよ。かなた君の行きたい場所は?』



憎みたくても憎めない美少女ならぬ美少年に、つい優しい口調で喋ってしまう。



でも、私の気持ちが翔から離れるわけないんだから、少しの間くらい、かなた君にとって楽しい時間にしてあげてもいいのだろうか?



かなた「僕の行きたい場所はね、美瑠ちゃんの行きたい場所なのっ」



そ、そんなこと言わないで下さいっっ!


困る、色んな意味で困る。



美瑠『ぢゃ、ぢゃあさ、明日までには考えておくよ。かなた君が行きたくない場所は?』



かなた「僕、遊園地やだ。」



遊園地をこよなく愛する子供のような外見をしているけど?



かなた「僕ね、絶叫マシーン嫌なの。嫌というより怖いの。」



私が心の中で質問していたことを、まるで読み取るかのように言ってのけるかなた君。



やっぱり、翔だけぢゃなく皆が言うように私は顔に出やすいタイプなのかも・・・。



かなた「美瑠ちゃんとのデート楽しみ!」



美瑠『そ、そう言われても・・・』


私が条件でしょうがなく付き合っていることを忘れているのだろうか、この子は。



かなた「あ!そうだ、これ僕の電話番号とメールアドレスだから、後でメールして?僕も美瑠ちゃんのメールアドレス登録するからっ!」



美瑠『う、うん!わかった。』



これは条件の期間が終わったらアドレス変更をしなければならないということ?



かなた「ぢゃあ、僕、そろそろ行くね?売店のクリームパンが売り切れちゃうからっ!」



美瑠『あ、う、うんっ!ばいばい』



かなた「明日は11時に駅前の時計台だからね〜っ!」



そう叫びながら、すでに廊下を駆け抜けて行くかなた君の足の速さがハンパない。



いや、あれはクリームパンのためだから、あんなに速く走れるのかもな・・・。



そんなことを考えながら、私も教室に戻った。