美瑠『・・・ん~…いでっ!』



夢から目が覚め、伸びをしたとたん、頭と背中にヅキン、と痛みを感じた。


その痛みで目をパッチリ開けたら、まず目に入ってきたのは・・・まさかの、


美瑠『おにーちゃん!?』



私の顔を覗き込むように見る私のお兄ちゃん。

名前は春樹。アメリカに経済学を学ぶために留学していて、現在大学3年生。

・・・そう、アメリカにいるはず・・・!



美瑠『何でお兄ちゃんがいるの!?てか、ここ病院!?』


飛び起きて周りを見渡すと、個室の綺麗な高級感溢れる病室。


春樹「良かったー、覚えてる……それにしても、やっと起きた…ふぅ。なかなか起きないからすっげぇ心配したんだからな!」



美瑠『はっ!?』



春樹「とりあえず、横になりな。説明してあげるから。」



美瑠『は、はい…。』



春樹「まず始めに、お前丸2日も寝てる。」



美瑠『…ま、まぢ?てか、なんで日本にいるの?私的にそっちのが驚きなのだが…』



春樹「お前が病院に運ばれたって連絡入ったから、すぐに親父にプライベートジェット機をアメリカに手配するよう連絡して、俺はすぐに来たわけ。」



美瑠『…な、なんか大事(おおごと)みたいぢゃん…!』



春樹「大事だよ!だって頭部から出血してるのに長時間放置してたらしいぢゃねぇか!また医者から頭部に強い衝撃による一部の記憶喪失の可能性があるって言われて、親戚とかお前のダチとか大集合してたんだぞ!」



“また”医者から頭部に強い衝撃による記憶喪失の可能性─だとかなんだとか言ったよね?


どういうこと?
ついさっきまでみてた夢も 僕のこと覚えてる? 、だとかなんだとか幼い頃の私が、男の子の頃を忘れちゃったみたいな感じのシーンだった。



美瑠『ねぇ、なんで今さ、“また”って言ったの?なんで“また”なの?私、そもそも病院に運ばれたことなんて産まれて初めてなんだけど。』



春樹「は?俺いつ“また”なんて言った?」



美瑠『“また”記憶喪失─だとかなんだとかって言ったぢゃん。』



春樹「ぁ・・・、それは・・・その・・・」