そんな自分勝手な翔なんだけど。
優しくてとろけそうなくらい甘い甘いキスをするんだ。
だからまだキスを続けて欲しいと一瞬だけ。
ほんの一瞬だけ
そう思ってしまった。
そんな自分が恥ずかしく、目線を床に落とした。
翔「ん?もうギブ?」
そう言いながら翔はクイッと私の顎を上げた。
美瑠『ちょっ、やめてよ。』
翔「ふ~ん。俺とのキス、嫌なんだ?」
美瑠『そっ、そんなこと一言も言ってないでしょ!』
キスが嫌だとは言ってない。
ただ、今の私の顔は赤いと思うから、翔に見られるのが嫌だったの。
翔「ぢゃあ、キスしたいんだ?」
うわっ~!!
またハメられた…。
それを言わせるために‘キスが嫌なんだ?’なんて言ってきたんだったのねッ!?
カァーー。
顔がさらに赤くなると同時に怒りが込み上げてくる。
なんなの?
学校のときの優しく爽やかな王子様は、どこに消えたの?
なんで、Sな性格だってことバレないのよ!?
美瑠『ふんッ。意地悪王子なんて嫌いだもン。』
そう言い放って私は自分の部屋に向かって歩きはじめた。