「健太郎。」


「あ??」


僕は疲れた返事を返した。

「私のこと、好き??」


してやられたっと思いながらも、この会話が嬉しい自分がいる。


「…あぁ。何度も言わすなよ…。」


ふと顔を上げると、目の前には千春の、輝く漆黒の瞳があって、僕は吸い込まれるように、近づいた。


いや、正確には千春がキスをしてきたのだ。
しかし、千春は恥じらうことなく、
「でも、主従関係は壊さないからね??」

とにやっとして言った。



…どうやら、僕の彼女は、僕より一枚上手のようだ。


千春は僕の腕をひっぱり、

「ほらっ、教室帰ろっ!!」
と最高の笑顔で言うから、なにもかもがどうでもよくなった。



僕の彼女は、暴力女。すぐ手がでるし、生意気だし、だましたりするけど、僕の大切な女の子。この握った手を離さないことだけは、彼女にはいわないでおこう。


また主従関係の生活が始まるが、それが僕らの掟で、愛のかたちなんだ。


「痛いのはやだけどね。」


「えっ??なぁに??」


「いや…、なぁんでも!!」


僕は千春の手を強くにぎりしめた。