「……もっ、ももっ…、桃っ!!」



「へ??」



気がつくと、目の前には小谷の
般若のような顔があった。


「なに、ぼぉっっとしてるの!!??
ちゃんと打ち合わせは聞いておきなさいね!!」


最近の小谷はヒステリックだ。
何かにつけガミガミうるさい。
私の仕事が増えたことで、
知名度が上がったため、
なにか些細なミスでたたかれる
ことがあってはいけないと、
不安なんだろう。



でも、それは私も同じ…。
はぁ………。
あの子が何もしてこなかったら
いいんだけど……。






ピルルッピルルッ



かずからのメールだ。



『今日からバイトなんだぁ。
だから、終わったら
桃ちゃんち行くからね。
大好き、桃ちゃぁんっ!!』


かずったらバイトするとは言ってたけど、
今日からだったのかぁ~っ。


時計はまだ9時を指している。




ちょっと寄ってみるか。



ちょっとしたイタヅラ心が
私をかずのバイト場まで
いざなった。




外の窓から覗いてみる。
ヘコヘコ頭を下げるかずを見つけた。



もぉっ、シャンっとしなさいよっ!!
いつもヘコヘコして!!
…まぁ、上手くいってそうでよかったわ。





………ん??
あの…子……。
かずと同じところでバイトしてたの…。



私は家に帰り、部屋でかずを
待っていた。



偶然………??
それとも………。