「真知子っ、荷物の準備できてるのっ!!??」











「大丈夫だって!!あっ、やばいっ!!いってきますっ!!!」












私はキャリーバッグをひきながら、バス停まで走る。












数年前、『兄』が歩いたであろう道を、踏み締めるように進む。












これは掃除なの。私は『兄』の後片付け。
だって、もう私には『兄』はいない。












空港に着き、搭乗案内を待ちながら、ソファーに座る。











今行くからね……。












空を見上げて、遠い国の彼に伝えた。












数時間後には、私は何をしてるのかな??
古い町並みの中、彼の腕の中にいれたらいい。
それが私の一生分の幸せだから。












多くは望まない。そうやって生きて、でも何かを犠牲にして傷つけて…。
それでも、私は生きることをやめない。私はやっと、自分の全てを手に入れた。幸せを…手に入れたんだ。












罪と呼ぶなら呼べばいい。でも、私はそう聞くたびに、私はその言葉を幸せだと解釈しよう。
なんてことはない。それだけのことなんだ。
それが自分にとって幸せに値するか、しないか。












そんなことを思い、数時間後の自分を想像する。












まさに、『罪という名の幸福』。
数時間、私たちは絵画になる。