「あの日、翔太くんが事故にあった瞬間、あたりは翔太くんの血で水溜まりができていてね。私は急いで救急車を呼んだんだ。その間、持っていた医療器具でできる限りの治療をしようとした。そうしたら、普通なら意識がなくてもおかしくないような、出血の量だったのに、翔太くんは目を見開いて、『携帯を貸してください。』て言うんだ。声一つ震わせることなく…ね。私はだめだ、て止めたんだが、『どうしても話したい人がいるから。』てきかなくて、私は携帯を貸した。そして、君に電話をかけたんだ。あのときの姿といったら……、見るにたえなくてねぇ…っ。彼はよっぽど…、君が好きだったんだね……っ。」
先生は、歳をとると涙腺がゆるくていかん、て言いながら、ハンカチで涙を拭っていたが、私は涙がなぜだかでなかった。
泣くよりも先に、翔太に会いたいと思ったから。
診察室を出ると、私は翔太の病室に急いだ。
翔太っ…、翔太っ……。
先生は、歳をとると涙腺がゆるくていかん、て言いながら、ハンカチで涙を拭っていたが、私は涙がなぜだかでなかった。
泣くよりも先に、翔太に会いたいと思ったから。
診察室を出ると、私は翔太の病室に急いだ。
翔太っ…、翔太っ……。