「…俺さ、今の真奈の言葉で、少し腹立ってるんだけ。」


私は視線を胸から、竜也の顔に素早くうつした。




「えっ！？なんっ…」





でも、すぐに広い胸に戻されてしまった。





「いいから、黙って聞けよっ！！真奈は、分かってねぇよ、全然分かってねぇ。」







「な、なにが……？」





「俺は真奈が浮気おっけーって言うから、女子と話してたわけじゃねぇんだよッ！！まぁ…俺のこと好きじゃねぇのかなって、ムキになったとこもあったけど……ほんとは、ただ…っ、妬いてほしかったんだよっ！！俺だけが好きなのかって不安だったんだよっ！！」



荒げた声……、こんな竜也、初めてだった。





顔は見えないけど、竜也が本気だという確かな証拠を、私は片耳で感じていた。









「竜也…、どきどきうるさいんだけど…。」






竜也。








「あ？俺じゃね-よっ!!」







竜也。







「竜也…。大好きだよぉ…っ」






「……知ってっから」





竜也の腕にまた力がこもった。でも、それは暴力的な強さじゃなくて…、分かるよね？


愛しいものを守るような、そんな優しい強さだった。






竜也が好き。私たち、やっぱり凄いよ。


同じことで悩んでたなんてね。






『自分だけが好きなんじゃないのか』




答えは、始めにあったじゃない。こんなことで悩んでること自体、相手のことを愛してる証拠じゃない。