「でさー、まじアイツが急にね~…」


「竜也、めっちゃウケる~、ホント馬鹿だねぇ~」




「竜也ッ!!」







竜也の曲がってた背筋がピンッと伸びた。怒られると思ったのだろう。






「先に謝っておくから。ホントにごめんね。」



「ま、真奈ちゃん…?」





大きく息を吸い込んだ。音を立てて吸い込んだ息は、お腹から大声を出す助けをした。





「ホントは浮気おっけーとか、そんなこと思ってるわけないじゃん!!自分のカレシが他の子とイチャイチャしてて、いい気持ちするわけないでしょッ!!ホントは、ケーキだって一緒に食べに行ってほしくないし、お昼だって2人で食べたいし、今みたいに女の子とじゃれあってほしくないのっ!!」



堪えてた涙が流れ出して、勢いをつける。




もぉっ、なんで涙なんかっ……



泣きたくなかった、泣くつもりなんてなかったのに…。



袖で目元を抑えて、くぐもった声を出す。




「……だって、竜也が大好きなんだもん。好きだから独り占めしたくなっちゃうんだもん。…だけど、束縛女って嫌われたくなかったから、浮気おっけーとか、心の広い女演じてただけなの…。これがホントの私…。」




「真奈……」




「でもねっ、もう…いいからっ!!こんな女やめて、竜也は竜也でいればいい!!だから…、今までありがっ…」



笑顔で涙をふき、微笑んで竜也のほうを見た。




目の前には竜也の広い胸。大きくて太い腕が私に覆いかぶさるように、抱きしめていた。