「せんせっ!!見てみて!!」




「おっ、凄いなぁ、咲子はっ!!先生を追い抜いちゃうんじゃないか-??」












私は昔っから親が習い事ばかりさせる家庭で育ったため、塾も習い事の一部であった。






自分の意思とは無関係だから、水泳やら書道やら、全然楽しくなかった。








だけど、塾だけは楽しかった。それは…、先生がいたから。翔太先生がいたからなんだ。












「咲子っ、ご褒美何が欲しい??」





先生はいつも、私がテストで満点をとったら、『ご褒美』をくれる。








私はそれがいつも楽しみだった。











「ん〜、じゃあおっきなくまさんっ!!」







「よおし、分かった!!先生がとびっきり大きなくまさん買ってやるからなっ!!」










そのときの、先生の笑顔がまだ私のなかに生きているんです。でも、それはたかが思い出で、今の私に笑いかけてくれる先生は、もう…私のそばにはいない。