「大ばかやろおぉーッ!!」



「竜也くん、ちょっとさすがにひどいよね。隣にカノジョいるわけじゃん。」



百合はバカでかい声で叫んだ私の頭をぽんぽんとなでながら、竜也を非難した。


でも、すぐに両手を腰にあてて、


「でも、真奈も悪いのよ!?いつまでも、ホントの気持ち言わないから!!」




「だ、だってさぁ……。」


「ごちゃごちゃ言わないッ!!竜也くんを他の女にとられても、今の真奈じゃ文句言えないからねッ!!」


百合のクリクリした大きな目が倍になったから、私はなお、ウッときた。






…私だって、嫌に決まってんじゃん。自分のカレシが他の女の子と遊んでて、何も思わないほうがおかしいよ…。



でも、それ以上に、私が竜也をしばって、結果嫌われることにはなりたくないの。それだけ本気で…好きだから……




ため息の嵐。地球ゴメンね、今の私、温暖化を加速させてるなぁー…。幸せも…実際今駆け足で逃げてってるし。








「あッ!!噂をすれば…」




百合の目線の先を追うと、竜也とキャピキャピした女の子が、じゃれあいながら歩いてた。






「ねぇ、真奈。今の真奈でホントに後悔しないの?皆怖いんだよ。好きな人に嫌われたくないのは、皆同じだよ。でもね、付き合ってるのに、ホントに言いたいこと、一つも言えないなんて、一緒にいる意味あるのかな?」








ふっと空を見上げた。青々として、雲ひとつない。でも…私の心は?



こんなに綺麗な青空みたいなのかな?




…違うよね




言いたいことがたまりすぎて、空一面雲がしきつめられてるカンジ。



その雲をはらうかはらわないかは、……私次第なんだね。