酷く荒れ果てた廊下には、損傷以外のものも目立ち始めた。

…赤黒い染み。

外来受付で見た、あの血痕と同じものだ。

ペンライトで照らす度、壁に、床に、天井に、いたる所に血痕が残っている。

ここでどれ程凄惨な殺し合いが行われたのかと思うほどの量だ。

同時に疑問が湧く。

…この血痕、人間一人の血液量にしては多すぎる。

ここに紛れてしまった人間は、一人ではなかったのかもしれない。

私のような人間が過去にも多くこの地下病棟に迷い込み、あの怪物の犠牲になったのかもしれない。

そして怪物は、その人間を食糧にして、この闇の中で生き永らえてきた…。

背筋も凍るような話だ。