躍動する筋肉の反動を最大限に生かして、ヴィクターは自らの拳を大男の顔面に叩きつける!

ヴィクターよりも上背のある大男の鼻面に、拳は見事に直撃した。

どれ程の膂力なのか。

大男の鼻が、たった一撃で捻じ曲がる。

鼻骨は完全に折れているようだった。

だけどそれを意にも介さず。

「うぐぅっ!」

ヴィクターは、逆に大男の横薙ぎの拳で吹き飛ばされた!

ヴィクターも決して小柄ではないというのに、その足が床から離れ、いとも簡単に地面に転がされる!

「野郎…!」

すぐさま起き上がるヴィクター。

その表情には、敵意が剥き出しになっていた。