ヴィクター。

彼はそう名乗った。

確かに金髪だし、整った顔立ちだけど、日本人風の顔だし、あだ名のようなものなのかしら。

それともハーフ?

ヴィクターという名前に違和感を感じているうちに。

「それじゃあ行くか」

彼は一人さっさと歩き始めてしまった。

私も慌てて後に続く。

…素性は知れない。

何者なのかわからない。

しかし、今は彼について行く他はなかった。

このヴィクターという正体不明の男に。