「狙われていた?」

「ああ、こっちの話だ、気にするんじゃねえよ」

男は首を振る。

…そんな彼に。

「貴方は、ここでなにをしているんですか?」

恐る恐る訊いてみる。

途端に。

「っっ!」

ギロリと睨まれる。

私の方から詮索するのはNGだったのだろうか。

しかし。

「まぁ…ちょっと訳ありでな」

意外にあっさりと、だけど素性をぼかして、彼は返答した。

「その手術着、うちの病院のですよね…うちの患者さんですか?」

「いんや」

「じゃあ何でその手術着を?」

「まぁまぁ」

苦笑しながら男は言った。

「お互い細かい事は気にしねえようにしようや」