一歩踏み出す。

サンダルが、ジャリ…と音を立てる。

長年誰も足を踏み入れていないのであろう地下病棟。

埃や砂が床に積もっている。

その他にもガラス片やコンクリートの小さな欠片のようなものまで散乱している様子。

まるで廃墟。

或いは建設途中で放棄された建物のような印象を受ける。

…それでも慎重に、私は歩を進めた。

怖いのは怖いけど、この地下病棟にあるかもしれない出入り口を探すという目的達成の為に、じっとしている訳にはいかなかった。

暗がりの中から何か飛び出してきたりしないだろうか。

得体の知れないものが、ここに棲みついていたりしないだろうか。

訳もなく不安に駆られながら、私は恐る恐る廊下を進んだ。