今日から学校祭の準備が始まった。
私の学校は夏休み前に学校祭がある。
それが終わると期末テストがあって、夏休みに入る。
1年の中で特にハードな時期。

「水無月さん、これ支えてて」

水無月さん、は、私。
クラスのリーダー的存在の女子が、金槌を持って私を見ていた。

「釘打つから、これちゃんとまっすぐ支えててよね」
「はーい…」

リーダー的と言うより、ただのしきりたがり。
何故私を指名したのかは知らないけど、逆らうとまたうるさいから言われた通りにした。
釘を打たれていく木の棒を持ちながら視線を移せば、教室のドアのところでゆめが男と話していた。
私の知らないあの長身の男の子はきっと後輩で、ゆめの新しい彼氏なんだろう。
すごく楽しそうにしている。

ふわふわのパーマがかかった長い髪が綺麗で、おっとりとした天然な性格が可愛くてきっとモテるんだろう。
だからとっかえひっかえなんて出来て、経験もどんどん増えていくんだろう。

うらやましいとか、妬む子は多くて。
汚い女だと言う人もいたりする。
ゆめ本人は気付いているのか知らないけど…親友をそう言われると心が痛んだ。