「あったといえばあったんだが…お前の知り合いに黒装束を着た奴なんているのか?」

「黒装束?」

 マイクは黒装束が何者なのか探ろうとしたが、オリバーは知らないようで、謎だけが残った。

「知らないんだったらいいんだ」

「その、黒装束の人がどうしたの?」

「お前さんの事を捜しているようだったが…それ、酒だ。こいつはうんめぇぞ!」

 ノティールは店のとっておきの酒を取り出し、オリバーに忠告した。

「さっきまでここにいたんだが、奴はただ者じゃない。もし見かけたら奴に見つからないように逃げろ」

「もし、見つかったら?」

「追い付かれないように逃げろ」

「…うん。わかった」

 忠告になっているのか、なっていないのか、オリバーは黒装束がどんな人なのかも分からず、ただ困惑するだけだった。

「本当にわかってんのか?」と、マイクが聞く。

「ん~、実はまだあんまり」と、苦笑いのオリバー。