マイクが覗き込む袋の中には、今まで見たこともない量の金貨が入っていた。

「すげぇ…」

　そうマイクが息を漏らすと、誰かが店に入って来た。慌てて二人は金貨の入った袋を隠す。

「ん？オリバーか、おはよう」と、冷や汗をかきながら挨拶する店主。

「おはようございます、ノティールさん。それと、マイクさんも」

「よ、よう…」

　妙によそよそしい二人を不信に思うオリバー。ノティールとマイクは冷や汗をかきながらも、何ともないような顔をする。それがオリバーにとって、ますます不信に思わせる行動で、妙な空気が辺りを包んだ。

　最初に妙な空気を破ったのはマイクだった。

「ところでお前、今日何しに来た？儀式するんじゃないのか？」

「うん。母さんが『王様に美味しいお酒を持って行きなさい』って言うから。ところで、何かあったの？」

　さりげなく聞いてきたオリバーに二人はドキッとしたが、すぐさま平常心を取り戻した。