一言も喋らない黒装束に対して、マイクは一方的に喋り続ける。その様子に店主は呆れたのか、酒の整理をし始める。

「なぁ、そろそろ一言ぐらい喋ってくれてもいいんじゃねぇか?それに…さっきから何かを探してるみてぇだけどよ、何探してるんだ?」

 その時、黒装束は初めて口を開いた。

「……を……るか?」

「え?何だって?声が小さくて聞こえねぇよ」

 マイクは黒装束の方へと耳を近づける。

「……を知っているか?」

「知っている?何を?」

「オリバーという少年だ」と、黒装束は力強く言った。

 先ほどまで酒の整理をしていた店主は、オリバーという名を聞いて、作業を止め、黒装束へと近づく。

「おめぇさん、オリバーを知ってるのかい?」

「彼にどうしても会いたい」

「会ってどうしようってんだ?」と、マイクが口を挟む。

「すまないが、それは答えられない……町の人にオリバーはここにいると聞いたが…いないのか?」

 マイクがまた口を挟もうとした時、店主は手でマイクの口を押さえた。