「じゃあ、また」
桜はそう言って自分のクラスに帰って行った。
…にしても
レイだけじゃなく、俺にも用があるのか?
「……全く心辺りがねぇ」
放課後
俺は素朴な疑問を抱えたまま、レイの見舞いに行った。
「あら、スバルくん!いらっしゃい」
「どうも」
レイの母親は快く俺を出迎えてくれた。
大きな黒目がちな瞳に、艶のある黒髪
雪のような色白な肌は、相変わらず年齢を感じさせない。
かなりの美人妻で有名なレイの母親。
レイは母親似らしい。
「レイちゃんは二階にいるから」
「はい」
俺は階段を上がり、すぐのところにあるレイの部屋に入った。
「レイ〜、来たぞ」
「…」
「…レイ?」
「…んぅ」
寝てんのか。
「……すばるぅ…」
「…ん?」
「…」
寝言…?
寝言で俺の名前呼んだのか。
「…可愛いやつだな」
「…ん…にゃぅ…」
夢の中で猫にでもなってんのか?
「…ふぁ……すばるだぁ…」
レイは目を覚ますと寝ぼけ眼で俺を見た。