「…ところで、君は何のために僕を訪ねて来たんだ??」

『実は――…』





今まで別の世界に飛ばされていた自分のこと。


女王によって抜かれてどこかに飛び散った自分の記憶を探し集めていること。


記憶を集めて取り戻した力で女王に立ち向かい、この世界を救おうとしていること。



あたしは今の旅の目的を全て話した。





「…なるほど。それで記憶を取り戻すまでの間、本来の力を失った君は少しでも魔法を使えるようになりたいってことかぁ。」

『あなたならそうできる可能性があるって聞いたの。今のままじゃ、あたし………』



あたしはラビをチラッと見る。


このままじゃ、あたし自身が重荷になっちゃう…


せめて自分の身を守れるくらいになりたい…!!



『お願い、リット…いえ、お願いします!!“奇跡の魔術師”リタルダンドさん!!』



あたしは頭を下げて、必死に頼む。

























「………君、さっき僕に向かってその神具を使えてたじゃないか…。」



そう言ってむくりと起き上がったのはドルチェ。

そしてあたしの持つ“凛月”を見つめている。



『それは…何で使えたのかあたしにもよく分からない。』

「――そうか。やはり…あのとき感じたのは神具の力か。」

「トリルも“凛月”の力感じたでしゅ!!」



何で力が無いあたしに“凛月”を使うことができたのかな…??

あのときはそれどころじゃなかったから考えもしなかった。