「本当、何度も言うけどさ…ここ病院じゃないんだけどねぇ。」



竜巻によって見事に目を回して大人しくなったルビーを、リットは小さく溜め息をつきながらベッドに寝かせた。



『…一体この人達は??』

「この子達は僕の弟子の魔法使いだ。まぁ、まだまだ一人前の称号の“魔術師”と呼ぶには程遠いんだけどねぇ。みんなには修行の一環として、ここに訪れる人の足止めをさせていたんだよ。」

「でしゅ!!」

『そうだったんだ。』

「でもこの子達の素質と実力は本物だよ。将来僕なんかより凄い“魔術師”になっちゃうかもなぁ。」

『確かに、みんなかなり強いみたいだね。』

「君がおぶって来た子が、幻術が得意なドルチェ。竜巻を起こしたこの子が、風術が得意なトリル。そしてそこの目を回してる好戦的な子が、火術が得意な半竜族のルビー。」



なるほど。

魔法使いといってもそれぞれ得意分野がある訳か。



『ところで半竜族って??』

「君がここに来る間にドラゴンがいただろう??あれは正真正銘、このルビーだ。彼は半分ドラゴン、半分人間の半竜族という種族で、どちらにも自由に姿を変えられるんだよ。」



えっと…??



つまり、あたしとラビを襲ったあのドラゴンは姿を変えたルビーだったってことで…


だからルビーはここへ来たラビのことを追い掛けてきた訳で…


























『――あのドラゴンがこの人〜〜〜〜〜っ???!!!』



未だに目を回して気絶してるルビーを見ながら、あたしは塔の外まで届くほど大きな声で叫んだ。