「ええと、その小さいサイズは全部千円で、中ぐらいのサイズが二千円、大のサイズが三千円・・・」

「ぷっ」

説明をしている途中でスウェード男は面白そうに噴出す。
何もそんなにも笑われるような事を言ったのかと思えば

「これって印刷じゃないよね?」

「一応・・・」

当たり前だが、全部手書きで、仕上がりまで何日もかけた物ばかりだ。
バイトもせず絵の売り上げだけの生活は本来ならとっくにのたれ死んでいる所だが、青山君と茜に拾ってもらって何とかこんな生活でも暮していけていた。

「じゃあここにあるの全部ちょうだい」

「は・・・い?」

全部とはどういう意味だろう?