樋口先生の書いた大作の蓮の花の咲く絵の前に座るどっしりとした姿は紛れもなく本人。
にこやかに微笑みながら

「すまないね。
丁度アトリエにこもって居た時だったから出るにでられなくって」

世界中のコレクターがその絵を求める巨匠はそんな威厳も気にせずに私に優しく微笑み掛けていた。