「紗枝さんもお気に入りなの。ああ見えて結構グラマーなんだよ」

私の不安を払拭するようにからかうような言葉に思わず吹き出して笑ってしまう。

「さっきは全然そんな風に見えなかった!」

ゆったりとしたスプリングセーターにタイトなスカートだった彼女に目測で体型を測る術は無い。

「夏になったらショック受けるよ」

クツクツ笑ながら

「トイレは1階と2階しかないしから。
お風呂は年功序列って決まってるから、夜遅くなっちゃうけど我慢してね。
食事当番は後でローテーション組むけど、紗枝さん香奈ちゃん、私と由佳里ちゃんって呼んでいい?」

ふと思いついたように話が変わり、今まで苗字しか読んでもらったことないから一瞬他人のような名前に聞えたけど、新天地に来て変わるチャンスだと思って「はい」と返事をした。