二人ともぱっと目を引くような美人じゃないけど、しっとりとした美人･･･樋口雄大が絵のモデルとしても好む女性のタイプだった。
そう気づいてから石田さんに目を移せば、しっとりとした艶のある黒い髪といい、ちょっと病的な節ばった指から想像するとおり、儚げな印象を覚える女性だった。

｢新しいお弟子さんの面倒は亜紀ちゃんが面倒を見てあげてね｣

桐野さんにそう紹介されて

｢絵の事は学校でしか習った程度の未熟者ですが、よろしくお願いします｣

家庭的な雰囲気を覚えながらもちゃんと上下社会が存在していて、背筋をピッと伸ばす。

｢そう緊張しなくて良いから、先生が降りてくるまでに荷物を片付けていらっしゃい。
亜紀ちゃんお願いね｣

お母さんのような雰囲気を持つ桐野さんの言葉に返事をした後、石田さんについて部屋へと向かった。