荷物を持って連れて行かれ、大きなリビングに通されるとさっきと同じように一瞬かわいそうな物を見る目をされたけど、口を開いた時にはそんな雰囲気は微塵も感じさせていなかった。

「いらっしゃい。
先生は今隆二君、一番弟子に当たる山中隆二君は一度会ってるわね。
アトリエに入っているから私、桐野から案内させてもらうね」

アトリエの事を任されているという桐野紗枝さんは長い髪をひとつにまとめて、控えめながらも美人な人だった。

「藤原香奈子です、初めまして。
新しい方が来るって聞いてたから楽しみにしてたわ」

髪を短くかっとした藤原さんはふちの太い眼鏡をかけているも、色白で肌の綺麗なひとだった。