どの部屋もライトブラウンの明るい木目調の壁でノックをして見れば、防音はしっかりしていた。
設置されていたベットもセミダブルサイズでどの部屋もベッドのサイズを気にしないほど十分広いと感じた。
クローゼットも奥行きがしっかりとあり、長い間使われていなかったというトイレもバスも埃が積っているだけで見た目はそれほど汚れていない。
試しに蛇口を捻ってみるが、さすがに水は出なかった。

「何かいろんなことがとんとん拍子に決まって夢を見てるみたいだな」

窓を開けて久しぶりだろう新しい空気をこの部屋に取り入れる。

「うん。朝目を覚ましたら夢でしたって言われてもおかしくないよね」

あまりに今までの現実とかけ離れていて今でも心がふわふわとしている。

「俺さ、あの人ならここで働いてもいいかな、って思ってる」
「働くつもりじゃなかったの?」

ノリではここで働くような口ぶりだったけど、やっぱり色々裏があったらしい。