動揺しっぱなしの私を無視をして作品の値段を計算していく。

「小が7つに、中が5つ、大が3つで二万六千円?」

計算した男にあまりにも出来すぎた話しに呆然としていれば天の助け。

「天宮、片付け済んだか?」

「由佳里せんぱーい遅くなってすみません!」

いつもゆっくりと歩いて来る二人が慌てるように駆け足で戻ってきてくれた。
「あんたは?」

早速青山君がスウェードの男を見上げるも、明らかに年上の男はそんな視線にはまったく動じない。

「お客さんだよ。これ合わせて二万六千円であってる?」

逆に問質されれば、青山君でさえ口をポカーンと開けて理解出来ないでいた。

「あっていますぅ!お買い上げありがとうございまぁす!」

だけど一番現状を理解していたのは茜ちゃんだった。