「千夏、そんなに怒らなくてもいいよっ!」


「拓斗にはいい薬でしょ!」



千夏は顔にかかった髪を耳にかけた。


「う゛・・・」


拓は少し顔を上げた。

その目には、うっすらと涙が浮かんでいた。


「拓、大丈夫?立てる・・・?」

あたしは、苦しそうな拓の顔を覗き込んだ。




「・・・っ!?」


いきなり拓が立ち上がった。


「ど・・・どうしたの?」


「なんでもないっ!」


そう言って、あたしに背中を向けた。


「・・・?」



一瞬・・・・拓の顔が赤かったような・・・?




気のせいかなぁ?





「はぁ・・・本当に天然よねぇ。」


「え?拓が?」




「・・・・バカ。」