「テメェ、お嬢様を放しやがれ」
「コレはあなた方が容易くどうこうして良いものではない」
「…侵入者の方、」
叫んだ男を窘めるかのように、細目の男が言葉を発した。指揮官みたいな存在なのだろうか、強面の連中の動きが止まる。
「あなたとは言葉が通じそうですね。何か反論はありますか」
「畏れながら申し上げますと、あなたにもお嬢様をどうこうする権利は無いかと思われます」
「……なるほど、あなたとは気が合いそうですね。しかし…それ故に邪魔、か」
瞬間的に、今まで頑なに変わらなかった細目の男の表情が少しだけ強張り、しかし、それでも僕の動きにはついては来れず、胴から右腕が切断された。ただ、首が断たれた強面の男たちよかまだマシだろう。
「…また来ますよ、」
呻く細目の男に軽く微笑み、薄れゆく暗闇に身を溶け込ませた。