「うーん、まだ極秘事項なんだけどな、一応」


「やっぱりまだ秘密なの?」


あたしは早く言いたい。

社長はあたしの旦那様なんだってこと。


だから誰も社長に近づかないで!!って言いたいよ……。


「いや、もうマスコミにも社内にも発表する」

「ほんと!?」

「そんなにオレと腕組みデートがしたいか」


頭をヨシヨシなんてされて頭にきたけれど、意地をはるのはやめた。


「……うん、したい」


あたしが反論すると思ったのか、今度は社長の方が黙り込む。


「社長?」

「待て!!」

「え?な、何!?」

「今誘惑すんな。するなら部屋に着いてからだ!!」

「な、何言ってんのぉー!!」


まったく持って、誘惑してるつもりなんてなかったし!!


「だってお前今、『シたい』って……」


したい?

シたい?


「……って、意味が違うし!!話の流れ的に、したいのは腕組みデートでしょう!?」


「あ、今また言った」


「だから違ーう!!」


あたしたちはムードなんかぶち壊しで、足早に最上階のスイートルームへ向かった。