触れるだけのキスだった。
『愛してる』ってお互いの気持ちが伝わるキス。
満たされていく心。
潤っていく身体。
唇が離れて、ほんの少し見つめ合う。
社長がとても真剣な目で真っ直ぐあたしを見つめるから、目をギュッと閉じてしまった。
「光姫……」
社長の顔がゆっくり近づき、もう一度重なった唇。
抱きしめあって、時間も忘れて求め合った。
最後にあたしのおでこに「チュッ」と優しいキスをして、車を下りていく社長。
そしてそのまま助手席に回ると、ドアを開けてあたしの手を引いてくれた。
「まるでお姫様になった気分」
「オレにとっちゃ世界にたった一人の大切な姫だけど?」
「んもうッ!!恥ずかしいからやめてッ!!」
そう言いながらも、あたしは社長の腕に自分の腕を絡めた。
「もう堂々と腕組めるね」